今井通子

 

1984.12.04 

[  ] 普段感じている事とかを、ざっくばらんに、話していただけたらと。最近は、一週間はどのように暮らされているのでしょうか。

[今井] 一週間ね。なんとなく過ぎてるね。

[  ] 本とか読んだりすると、あのう、忙しそうに思えるんですけど。

[今井] そうですね、はい。

[  ] それサークルの記事なんですけど。

[今井] えっと、ご連絡くだっさたのはどなたですか。

[  ] えっ、私です。 えっとですね、

[今井] 適当に。

[  ] 形式ばらないで、

[  ] よろしいですか。私、いえ、僕が先に読んだのは、あのうっ、先生の著書を読ましていただいたのは、「私のヒマラヤ」からなんですけど、「私の北壁」も少し読ましていただいたんですけども、まぁ、まぁ、二つの本しかまだ読ましていただいてないんですけど、まぁ二つの本を読んで、やはり山登りの本、と最初思ったイメージよりも、ただ見て来たものを、そのまま書いたような感じに取れたんですけど、わざとそういう風な、

[今井] 山登りの本という、その固定観念はどういうの。

[  ] 登る時の過程が、もっと、例えば、「私のヒマラヤ」なんかでは、先生が一人で登られたん

中断(電話が入る)

[  ] えっと、増田君がちょっと、

[今井] さっき話 途中だったのよ。

笑い

[  ] せやせやせや。書物なんかの表現を、僕なんかは表現をやっぱり、文学部ということもあるんですけど、感じ方を捉えてしまうんですけど、それは、やっぱり、登山に対して、やっぱり、登山家そのものか、女性として、医者としてとか、見方があると思うんですけど、一番最初にくるのは。

[今井] 一番最初にくるよりも何よりも、ね、要するに、山も含めてなんですけれども、色々な文章を書く時っていうのは、わりかしとみんな、誇張して書くでしょ。色んな美辞麗句を並べたてるけど、私はそういうのが好きじゃないの。それでね、要するに、まるで、喋り言葉に近いような言葉で、みんなが、なんかこう、普通に感じることを、表現して、書くのが、今から、えっと、68年に書いたんだから、20年近く前ですね。当時は特に、例えば斜面が急だと書かないわけね。急襲な斜面と書くの。いかにも急そうに見えるような、そういう文学的な表現ってあったんだけど、少なくともノンフィクションというか、あれは記述であるべきだと思うから、むしろ、言ってみれば、科学的な論文的な、  あっ、これないの?お湯も?

笑い

[  ] いや、いいですよ、いいですよ。話ができひん。

[  ] ちょっと飲むな。

[今井] だから、いわゆる論文なんかを書くときには、誇張して書いてはいけないわけですから、科学者っていうのは、だから、そういう目を持っているのかもしれないけど。それともう一つは、これはね、なんか、誰かの対談のときに言われたんだけど、俳句の心得がおありですか、いえ、無いですよと言ったら、いや、じゃ、随分ズボラな方ですかっつうから、どっちかっていうとそうかなと言ったら、どんな美しいところも三行で書いてあると言われたんだけど、そういうアレはあるのね。わりと見方がさっぱりしていると言うか、ただね、言葉として簡単に受け取れる言葉として書くことが、まだその当時としては珍しかったんですよ。いわゆる文学的な本を書くことを仕事としない、会社やなんかやの人たちが、報告書書いたりと言うようなことがありますよね。あのう、例えば、出張報告とかね。そういうのを、研修用にあの本は随分使われてますね。

[  ] うん・・・。でも私なんか思うんですけど、そういう8000m級の山なんかを目の前にすると、すごい気後れなんかは無いのかな、と思ってるんですけど。

[今井] うん、山っていうのはね、確かに、すごい登りたいって思って行くんだけれども、その時に、こう行って、ちっちゃく見えたら失敗なのね。それから、大きく見えても失敗なのですよ。丁度よく見えたときが一番いいですね。

[  ] その山をですか?

[今井] うん、だから、大きく見えちゃうっつうことは、恐ろしいと思うことなの。そこで気後れでしょ。ちっちゃく見えちゃうのは、あっ、ちょろいじゃないか、と思うから、割と、こう、自分たちが甘く見すぎるところがあるから、丁度よく見えないと登れないと言いますね。

[  ] 話は変わりますが、タバコ吸ってられますけど、8000m級の上ではタバコを吸うと美味しいですか?

[今井] 美味しいです。タバコを吸っちゃいけないのよね、医者は。あの、もう最近言われてて、なかなかみんな吸わないんだけど、でも、吸ってる人間にとってはね、空気がきれいで、薄くてね、マッチがなかなか点かないんですよ。三回も四回もマッチ点けなきゃいけないんだけど、点ける度に、一回こうやって吸うと、深呼吸して、息止めちゃうから、もう、息が間に合わなくなるのね。そうすると、何回か呼吸を整えて、またもう一回点けて。しつこく何回でもやっても吸いたい位美味しいですけどね。

[  ] そうでしょうね。

笑い

[  ] 純粋な質問でしたけど。

[  ] 純粋?

[  ] この写真はどこの。

[今井] これはね、この間の十月から一月まで、先シーズン行ってたチョモランマです。

[  ] これ見ると、本当に、あのう、こう、滑り落ちてくっちゅうのか、こう、滑落していくっちゅうのか、そういう、

[今井] そういうイメージが湧くの。

[  ] 湧きますよ。

[今井] のぼっつというイメージが湧かないのかな。ハハハ、面白いね。

[  ] いや、これりゃもう、落ちていくだけ落ちていくじゃないかと。

[  ] やっぱり悪い方を。

[  ] 悪い方を想像してしまう。

[  ] いや、もうビビりますね、こういうところは。風はあんまり強くはないんですか?

[今井] うん、すごい風よ。あれ全部雪煙だから、雪が風に舞ってるのね。

[  ] 先程この写真見ましてね、ある人が、まあ、生命保険かけてんねやろう、と言ったんですけど。

[今井] もちろん。そりゃみんなアレですよ、あのう、生命保険はかけてますよ。

[  ] どれぐらいの生命保険を。

笑い

[今井] 山は危険行為だから、そんなね、入らないですよ。せいぜい500万止まり。ただ、もしも事故を起こしたときの、社会的なね、負担ということを考えたら、やっぱり生命保険かけといて、自分たちで遭難救助やなんかの費用を、そこから捻出しなけりゃなんないから。

[  ] うん、そうですね。しかし、あのう、女性の方もいるんで、結婚のことなんかも伺いたいなんて思ってるんですけども、やはり、ドラマチックな結婚式だったと、週刊誌に書かれてますけど、ご自分ではどう考えられているんですか。

[今井] あのう、別にドラマチックでなかったかもしれないけどね、あのう、要するに、山登って普通の結婚式やろうと思ってなかったから、だから、いいんじゃないかな。もう、発想自身が主人の発想で、私は、まあいいや、そういう風にしようよと同意した方だから。あんまりそういうのには固執しないから。

[  ] 山を登る人だったらみんなそう思うんじゃないかなと思ってたら、意外とそうでもないんですね。

[今井] いや、山登る人は、割とだから、山の上での結婚式が流行ってるね、割とそれ以後。それで、ツアーなんかでどっか行くでしょ。ヨーロッパとか。そういうのも山頂でやろうとかね。今やってますよね。ただ私たちの場合は、そういう発想というよりは、どうせ結婚式するなら、ほんとに祝ってくれる仲間たちとやろうっていうのがあったから、それで。まあ五人しかいなかったんだけどね。私たち含めてね。

[  ] 僕はお会いする前は、「男は仕事、女は冒険」の写真を見て、なんかすごい、ごっつそうな人だなと思ってたんですけど、いや、会ってみるとなんか、むしろ、華奢だっちゅうくらいの印象なんですけど。

[今井] みんなそう言いますね。なんか、山登る人すごいごっついと思われてるんですけど。だけど、わりがいとね、男の人も小柄の人が多いですよ。

[  ] でも、あのう、ご主人の高橋さんとか。

[今井] うん、もちろんね、そういう人もいるけど、ヒマラヤはある程度大きい人のほうが向くみたい。岩登りやってると、そんなに大きくなくても、ある程度バランスのいい人間の方がいいし。場所によって違うのね。

[  ] いやー、あのね、わたくし、今年の富士山登ったんですけどね、それがそのう、もう、周り見たら、子供もおじいさんもみな登ってるわけですね。俺ら登ってるんですけど、なんか、その、えらいしんどなってもて、もうちょっと登って、また休んで、ちょっとまた登って休んで、そんなんやってるうちに、もう夜登ったら、登って降りたら、次の夜なってまんねん。ほんで、帰りのバスなかったんですけどね。そういうなん、コツというのはあるんですかね。

[  ] コツ?(笑)

[  ] 太郎!

[今井] 山はね、要するに山って言うより、まあ、世の中に自然がある限り、そこは、誰が行ってもいいんだけど、ただその行き方って言うのはね、突然富士山登ったりすべきじゃないんだよね。ほんとはね。だんだんこう、小さい山からトレーニングして、で、自分が登ってる時、楽しめるくらいの余裕の持てる山に行って、そして楽しみながらだんだんだんだん成長していくと、結構難しいなと思えるような山でも、普通の人が見たら難しいなと思えるような山でも、自分たちでは楽しめる山になるわけ。そらまあ、小学校の生徒に大学の講義を聞かしても解んないのとおんなじで、突然行ったら、

[  ] やっぱり山登るというのは楽しいですか?

[今井] 私はね、小さいときから親に連れて行かれてて、山でも海でもそうなんですけど、割とアウトドアライフというのは、昔から楽しんだ、というのが、できていると言うか、環境がそうなってたから。

[  ] こういう険しい山でも楽しんで。

[今井] そうですね。やっぱりさっき行ったように、はじめ緑の草原ぐらいでも、苦しいなと思ってましたけど、最近はこういうところへ行っても、そのまま、マイナス30度ぐらいのとこ、毎日いても、あんまり気になんない。それは何でもおんなじだと思うのね。別に山じゃなくてもね。

[  ] 私、山登り辞めよとか、そんなん思たことないっすかね。

[今井] 辞めようと思ったことはないですけどね。ただ、他のことで、興味があったら、いつでも転換する可能性はありますね。

中断

[今井] みんな、何?人に話を聞いてどうしようというわけ。

[  ] だから、そのう、プラスになるものを聞いて、自分を高めていこうと、そういうサークルなんです。

[  ] と言うか、本を読んじゃえば、ああこの人、本当にこんな風にやってるのかなと。じゃ、直に合ってみようじゃないかと。

[  ] いや、百冊の本を読むより、一人の人物に会うと。

[今井] そりゃそうですね。

[  ] 僕はアレなんですよね。こういうウチのサークルの会見っていうのはいい加減だったんですよね。で、今回初めてと言うか、ちゃんと本を読んで、その人の本を読んで、自分なりに研究、研究ったって大したことないんですけど、ホントは一冊しか・・・、その文章の中で、だんだん読んでいくうちに、これはちょっと厳しい人なんだなと。で、僕が呼んだのは、ダウラギに登ったやつなんですけど。

[今井] ダウラギってどっちかな。縦走の方?

[  ] 縦走の方です。

[今井] 縦走の方が面白かったんじゃない?

[  ] そうですね。

[今井] 『私のヒマラヤ』より。

[  ] そん時、なんて言うか、登山なんて門外漢て言うか、意識なかったんですが、登山という一つの、イベントと言うのは失礼ですけど、

[今井] いいよ。

[  ] それが、色んな人間の力を得て、すごくダイナミズムがあるというのかね、自分独りで登るんだという作業じゃなくて、色んな人の協力があって、色んな人との触れ合いがあって、いろんな、こう、何て言うか、人間的な問題があって、その中で一つのこの、結局、最後に残るのは数人であるというところまで行く、そういう、大きな作業であると聞いて、非常に感動したんですけど、あのう、そういう中で、この前は隊長で行かれて、しかも、あのう、色んな自分たちの仲間というのは、男で年下の方もいらっしゃったし、そういう意味では、母親的なって言うか、そういう立場でいらっしゃることができたから、じょせいとして、

[今井] 年取っちゃたから、そうなっちゃたんだけどね。

[  ] だけど、やっぱり、こう、何って言うか、リーダーシップを取って行くということで、色んな人間の問題があると思うんですよ。なんか、こう、すっごい、なんか、よくぞ、そういう何て言うか、極限に向かう中で、なんか、そういう風の・・・・・・・・

[今井] だから、あのう、私自身はあんまり何にも知らないで、結構、育った環境っていうのが一つあるんだけど、やってきたんだけど、あのう、さっき言ってたようにね、あのう、本読むよりも人に会った方がいいというところで、私が今まで自分で経験したことから言えることは、みんなに教えてあげちゃうのは、例えば、自分自身がどうやって生きていくのかと、まず決めなくちゃいけないじゃない。もう、そろそろ決まってるかも知れないけど。で、その時に、私の場合には、小さい時から、親が両親とも医者でしょ。そして、両親が、ともにその男女の差別っていうものがないっていう生活をしてましたからね。で、私たちも女三人、男一人の兄弟なんだけど、全員医者になったんですよね。だから、結局、親の教育がまず第一に、その、世の中に出たら自分で責任を持って、生きていく。それも仕事をしながら生きていけと。で、自分の食べるものは自分で稼げというようなそういう教育方針だったの。だから、とりあえず、医者になって、そのう、自分の食べるものだけは、自分で稼ごうというのが一つと、それにプラス、ウチの親っていうのは、ただ単に、仕事と家庭とかというだけでね、世の中を過ごすというのはね、その自分の人生だと思ってない人たちだったから、自分の趣味とかね、まあ、ボランティア活動なんかでもいいんだけどね、本当に自分をやりたいことをやっていくことが、その、自分の人生だという教え方をしてくれたから、だから、そこで私は何をしようかなと思って振り返ってみたら、結局は、親がずっと山へ連れてってくれたから、山が一番経験があるわけですよ。そうすると、それを、こう、ただただ単に、挑戦しているという感じにとられるかも知れないんだけど、そうじゃなくて、むしろ休養なんですね、ひとつ。で、その休養の場として山を最初のうち見ていたんだけれども、もともと、割と凝り性だからさ、山行って縦走すれば、今度、じゃ、岩登りもやってみたいなと思って、岩登りやってみれば、日本の山じゃちょっと飽き足りないな、ヨーロッパも行ってみたいなと思うわけですよ。で、そうやってどんどんやっていくと、今度は、休養の場が自分自身の楽しみに場になるワケね。で、楽しみの場になっている時、ふっと振り返ってみて、これはいつまでできるんだろうというのをまず最初に考えるわけ。もう二十代後半ぐらいで。そうすると、今度はね、最初のうちは自分はね、自分の体力を駆使して、技術を駆使して、独り     なんですよ。で、そこで、やっているんだけどその時に、ふっと気が付いて、これがずっと続けられるとしたら、どうやってやるかと思ったら、たとえば、その、ひとつの隊とか組織して、最初は選手で、次が、えっ、要するに、コーチで、次が監督でみたいなのがあるワケね。そうしないと、行けなくなっちゃうからさ。そしたら、選手のうちに、じゃ、コーチになるためにはどういうことをやっとけばいいかなとか、それから、コーチの立場でいるときは、じゃ、監督になるためには、どういう立場で、やってればいいかな、というのを見極めておくのね。そうすると選手の時代に、ただただ登ることだけに賭けていると、できなくて、要するに、科学的なことで言えば、人間の体力がどこで、どうなるかというのを調べたりとか。それから、あとは、お互いのチームワークとか、そういうの、人間関係っていうのはどういうものか、世の中の人たちは、どういう風に協力してくれるのかとかね。そういうの一番最初に、ある程度見るわけですね。で、それが見れたら、ある程度は、今度は、コーチとか何とかになれるわけだから、で、コーチ的な立場で、またダウラギの     か登ってそして、縦走のときは、それの集大成、全部が出来上がった段階で、監督の立場で、隊長と言うのは監督の立場だから、それで、大体、こう、あのう、チームワークはこういう風に、それから、山に向かっての技術的なもの、科学的な分析、そういう風なものは、こういう風にやるとかね。そういう風なん決めていくワケ。で、そうすると、それはね、もちろん、その、一つのイベントに対する一つの行動ってあるワケね。それだけじゃなくて自分自身の中に一つずつ組み立てていく面白さがあるの。で、そういうのをね、こう、やっぱし、ある程度ね、世に言う時に、今自分がやっていることで、夢中になっちゃって、そして、それで、過ごしてっちゃうと、おっかけおっかけになっちゃうから、最終的には、体力も落ちるわけだし、年をとると、だから、自分の行動というのは、どこかで挫折すると思うんですよ。だけど、その一つ先が何かっていうのを、常に見てると、そのための準備のこともプラスして何かやっていくといいと思う。それは何でもいいんです。その何でもいいことを何か一つやってるとね、そこからまた別のものが見えてくんのね。それが私なら山なんですよね。山行かなかったら、私は外国なんか行こうと思わなかったし、で、外国へ行こうと思わなかったら、海外で見て来た、色んなものっていうのも感じることもできなかったであろう。だけど、山行きたい一心で、色々技術身につけて、わっとやって、で、外国行っちゃったワケでしょ。言ってみたら向こうの人たちがどうやって山楽しんでるかということから、彼らの、こう、何か、社会に対するものの見方とか、そういうなん全部友達ができてから、友達と話して、で、そこでね、一番必要なものは、やっぱ言葉なんだよね。で、その言葉だけを、私、失敗したんですけどね、中学、高校まで女子学院というすごい英語の発達した学校にいたにも係わらず、あんまり勉強しなかったから、英語あんまり上手くなくて、で、最初行ったころ、どうしようかななんて思ったのね。もう、ジェスチャーだとかさ、字書いたりとかいろいろして、なるべく人と話すようにして、で、それを今度は、自分の立場と、日本の立場で租借して、そして、相手と同じ立場で付き合うわけ。そうすると、相手も     できるし、我々のこともちゃんと認めてくれるワケね。だから、そういう世界が開けてくるから、やっぱし何か持ってた方がいい。

[  ] そうですね。よく、あのう、ちょっと話題変わるんですけど、よくあのう、山の仲間ちゅうのは何か、世間一般から見れば、すごく特別な、何か、繋がりがあるように、何か思いがちなんですけども、実際のところは。

[今井] あの、特別な繋がりっていうんじゃなくて、結局、24時間いっしょに移動するでしょ。だから、あのう、例えばさあ、朝一緒になって、話してて、何か気分悪いなと思うことがあっても、夜になると、みんな家帰って寝ちゃえば、次の日は忘れちゃうじゃない。そういうのがないじゃない、山の場合。ずっと24時間一緒に行動するから。

[  ] ええええ。

[今井] そうするともう、あのう、相手がさあ、ちょっとくちゃくちゃ食べるのも、うるさいとかね。そんな感じで、お互いに、もう、本音の部分でしか付き合わないから、お互いがこう、性格とかね、行動とかね、癖から何から全部分かるから、気どらないんだよね。気どる必要がないって言うのかな。そういうことあるのよね。

[  ] お互い24時間をさらけ出していかないと、登れない山ですよね。

[今井] そうですね。だから特別な関係のように見えるんですよ。友達関係って言うより、兄弟関係みたいになっちゃうから。だから、喧嘩もするし、あんまり、だから、一緒になって、あのう、他所の人と合ったとき「山きれいですね。」と話しても、お互いに「きれい」なんて、山の中で言ったことないもんね。

[  ] は?

[今井] お互い同じ経験をしてて、分かってるもんだと思って交流してるから、いわゆるおべんちゃらなんてのは言わない。だから、そういう関係を作れるから、その点では、ホントの仲間っていうのが作れるよ。ただ、それが一生一緒にいれるもんだと思ったら間違いで、山一つ終わり二つ終わり個人個人の環境が変わっていくと、離れてもいくし、また戻ってくるしの繰り返し。それをね、こう、「がしっ」て、お互いに仲間同士なんだからってさあ、付き合おうとすると、却ってギクシャクしちゃうね。

[  ] じゃあ、今度、エベレストに登るから、それの関係ある人たちがバァっと集まって来て。

[今井] だけど、それに関係ない人でも、あのう、前来た人でも、今度も、「手伝おうね」と言う人もいれば、それから、行きたいんだけど、行けないから、今回知らん顔してようとかって言ってて、また次の時には一緒になれる人もいるし。

[  ] じゃ、結構その辺はビジネスライクって言うか、その辺は。

[今井] そうですね。ビジネスライクと言うよりは、何つったらいいのかな。兄弟ってのはそんな風だと思いません?むしろ。

[  ] ハー?

[今井] 兄弟のいる人あんまりいないの?

[  ] ああ、なるほど。

笑い

[  ] よく、山の仲間たちが、何か、今井先生の家に、よく、何か、遊びに来るそうですが、そういうのは今でも続け・・・・

[今井] 今も来てますよ。金曜日なんかだと、大体、何人か来てるね。土曜日会社の休みの人とかさ。

[  ] 山に登る人たちっちゅうのは山登りを、例えば、専門にされてメシを食っていくわけじゃないんですか。

[今井] そういう人もいますよ。うちにも一人、根岸さとる君というのが、山のガイドで食べてる人がいるのね。

[  ] はあ、先生はお医者さんもなさっているわけだし。

[今井] いや、医者もしてるって言うよりは、私は社会的に仕事としては、医者をしているんですよ。山はあくまで趣味だから。

[  ] もう、ほんとに、仕事なんか持っちゃうと大変だと思うんですけど、それに、育児って言うか、子供を育てたりっていうか、三つ、趣味と仕事と家庭やって   から、どうやって。

[今井] 本来は、だから、その、要するに、自分自身を生かす、趣味とかね、家庭をやっていくこと、まあ、義務っぽいこととそれから仕事も義務っぽいことですよね。それやってこそ人生だと思ってるから、当たり前だと思うんだけど、それを、例えば、仕事なら仕事だけに追われてとかね、まあ、大体、今、日本の世の中、特に男性はそうで、例えば、今流行っている週末症候群っていうのは、仕事一生懸命やっている人がさ、土日は休みで決められちゃったから、休むわけだけど、仕事は会社に残ってるわ、休んでもイライラするわって感じでね、今度休んだ時に、自分のものっていうのが無いから、イライラしててしょうがなくて、夜も眠れなくて、おなかすいて、冷蔵庫あさって、ゴキブリ症候群みたいになっていくわけでしょ。で、そういう風にならないためにっていうかね、ほんとに自分が、何を、どうせ生きちゃったんだから、しょうがないんだからさ、どうするかってのが、あると思うんですね。そうすると、もちろん、だから、家庭やなんかのことも大変だし、それから仕事も真面目にやんなくちゃなんないし、特に医者なんか、いい加減にはできないから。だけど、それだって、楽しいって言い方したらおかしいんだけど、日常的なことと、脱日常的なことを繰り返してやると、どっちかやっているときは、どっちか反対側が休んでいるわけでしょ。そういう点ではお互いプラスしあっているというのがありますよね。

[  ] 特にどっちかに比重を置いてやっているっちゅうことは無いわけですね。

[今井] 時間的比重っていうのはやっぱり仕事の方が大きいでしょうね。

[  ] はぁー。どちらにもプラスになっていくと。

[今井] だから、みんなだって、結局、学校で勉強もしなきゃなんないだろうけど、その分、遊ぶ部分というのは、自分たちで、何か、自分の目標とするもの持って、学生時代から、何か目を向けといた方がいいんじゃないかな。

[  ] 趣味の時間とかいう感じですね。

[  ] そうですね。まあ、僕は、何か、根暗だと言われるんですけどね。

[  ] どこがやねん。

[  ] 暗いから、自分が早稲田大学の学生だから、将来こうするんだということを思いつめて考えると、自分で自分のことが窮屈になるんですよね。それこそ、趣味で、趣味がこうじて、という感じでいきたいんですけど、先生を見ると、非常に何か、趣味的な。

[今井] でも趣味がこうじて、そっち走っちゃうとだめだよ。やっぱし仕事は仕事でやんなきゃいけないし。いけないというよりは、やってるほうがプラスなんだよね。自分にとっても。

[  ] 趣味が仕事っちゅうのは。

[今井] と思ったらきついでしょうね。要するにさ、人間てね、そんなにさ、一つのことずっとやってられないじゃない。

[  ] 好きなことを仕事でできたら、私はええと思うんですけどね。だから。

[今井] でも、そうすると、今度、例えば、ガイドなんかやってる人に逆に聞くと、山登りも、そういう仕事ね、仕事になっちゃうとつらいっていうよね。

[  ] いや、そやから、やりがいがあるんとちゃいますか。好きやからこそ、また頑張ろうと。

[今井] 好きこそ物の上手なれ。

[  ] はい。

[今井] そりゃそうなんだけどさ、ただ、あのう、ほんとにその仕事に打ち込める人ならいいんだけど、そのほんとに打ち込めるような仕事っていうのはそんなに無いじゃない。

[  ] はぁ、個人の好みもあるし。

[今井] で、趣味でやってられるようなさ、楽しい仕事っていうのは、やっぱり、今度はお金にもならないしさ、大変でしょう。

[  ] いや、例えば、あのう、政治家は人に会うのが仕事だと一般に言われてるんですけど、やあ、もう、僕は色んな人と会って、色んな人の考え方を聞いて、「うん、よっしゃ、そうだな、そうだな」と。そういうのが好きだと言って、自然に政治家になっちゃうというか、そういうのもあるんでしょうけども。

[今井] でも政治家ってさ、政治が仕事じゃなくて、みんな他の仕事持っているじゃない。大体、何かの社長さんとかさ、何か、こう、やっている人いるじゃない。医者が政治家なったりっていうのもいるんだけど。

[  ] ええ、そうですね。

[今井] あれも趣味のうちだと思うんだよね。

[  ] 政治が趣味ですか。

[  ] 権力闘争の趣味?

[全員] はー、そうか。

[  ] 政治が趣味か?

[今井] そうだと思うよ。そうじゃなきゃできないんじゃないかな。

[  ] まあ、そうでしょうね。せんばさん、どうですか。

[  ] 山登っているとき、マメなんかできないですか。

[今井] マメ?

[  ] マメ。

[今井] マメできる。

[  ] そうした時、やっぱりこう、やばいみたいな時あるんですかね。

[今井] マメぐらい大したことないんだけど。

笑い

[今井] もっと色々ありますよ。凍傷になるかも知れないしとか。

笑い

[  ] で、まあ、あのう、今井さん、男女の隔たりがないような教育をなさるべきだと言われましたけども、それでまあ、男の世界に入っていくような面を感じますけども、まあ、今井さんが大学は、東京女子医大っていう女子医大に行ってたわけなんですけど、その辺は、何か、

[今井] そりゃもう、親が女子医大っていうから入った私たちっちゅうのは、兄弟みんなすごく素直な兄弟でね。普通、医者の家庭の子供って医者になりたがらないんだよね。大体何人か反発するんだけど。

[  ] はー、そんなんあんな。

[今井] うん、ところがうちは全員言われたとおりの路線で、まず、医者になっちゃうというのは親の教育が良かったんだと思うね。とりあえず医者という一つのベースを持ってて、社会的に仕事ができる人間になっとけと、あとは何やってもいいと、始めっから言われてたから。そして、親自身が医者やってて、例えば父親なんていうのは、週二回ゴルフ行ってたりしてたから、あ、趣味なんかもちゃんとやってるなっていうのを見てたから。そうなると、趣味は趣味でそういう余力のところでやればいいんだな、という感覚あってね。で、とりあえず、今みたいに裕福な時代じゃないから、なにしろ、自分で生活できる、自分で食べて生きていけるというのをまずベースにしなくちゃいけなかったから、それには、一番いいのは、仕事持ってることでしょう。で、それも絶対崩れないというのが専門職だよね。

[  ] でまあ、あのう、医学部のサークルといいますのは、お坊ちゃん譲ちゃんが、外車に乗り、軽井沢に別荘構えて、まあ、テニスに遊ぶという感じを、まあ、軽井沢なんかへ行ったときも感じたんですけど、高校の時に。そんでまあ、まあ、なんとか大学医学部とか医学部対抗戦とか見たんですよ、やってるのを。でまあ、まあ、階級というのか、何か、別の世界の人がやっているような感じを受けたんですけど。で、片方、まあ、早稲田の、まあ、部とかサークルっていうのは、まあ、何か、事を興すときとか、まあ、山登りでも、まあ、航空部のやつなんかでも、その部全体でアルバイトやった金でやるわけですよね。まあ、今井さんなんかまあ、学生時代結構行ってたらしいですけど、『私の北壁』何か読んでも、そんで、まあ、費用というのは、費用というのはどの辺から捻出していたのでしょうか。

[今井] あのう、費用はね自分たちで稼いだお金で行きましたけど。

中断(電話が入る)

[今井] だけどアレだよ、医学部の学生が、お嬢ちゃんお嬢ちゃんっていうのは偏見だぜ。

[全員] 偏見ですか。

[  ] そうですか。

[  ] 現に、私立の医学部なんかっていうのは、そういう状況はもう、

[今井] まあ、そういう人たちもいますけどね。だから、そういう人たちだから、軽井沢に集まってるんだろうけど、苦学生も結構たくさんいますし。

[  ] 私立でもいますか。

[今井] 私立でもいますよ。

[  ] 入学の段階で何千万という金をいるじゃないんですか。

[今井] 何千万って、今いくらぐらいか知らないけどね。

[  ] いくらでした。

[今井] だけど、私たちのころは、安かったですよ。290万だもん。高校の月謝より大学の月謝のほうが安かった。

[  ] 女子学院てそんなに高いんですか。

[今井] そうだよ。女子学院が高いのか、女子医大が安いのか分かんないけど。

[  ] 月80万、年80万。

[  ] だけど、もう20年近く前でしょ。

[今井] そうですね。それで、要するに大学出た医者でもね、かなり非常に苦労している人とかいるし、医者がみんな金持ちで、遊んで歩いてると思ったら大間違い。

[  ] じゃまあ、医師優遇税制なんかについてはどうお考えになりますか。

[今井] あの辺ね、みんなね、医者のさあ、あの、医者の立場から言わしてもらうと、要するにね、どんなに優遇しても優秀にならないと思う。医者っていうのは、ほんとに真面目に医者やってる人間にとっては、というのはさぁ、あのう、自分の、例えばね、九時五時で仕事終わらないんですよ、相手が患者さんだったりすれば。そして、患者だけ診てたら、医者って成り立たないのね。常に勉強してなけりゃなんないのね。それこそもう生涯勉強の場、まさに最たるもんでさ。で、その時間っていうのが必要なわけでしょう。で、医者が使わなきゃなんない資料とかね、機械とか、ものすごい高いものしかないんですよ。だけど、その中でやりくりしていかなきゃなんないわけ。だから、その、いわゆる開業している先生たちで、遊んでいる人たちばっかし見て、みんなそういう風に思うんだろうけど、ほんとに大学なんかだと、ほんとに大学なんかの医者だと、もともと給料も安いし、だけど研究なんかしたいから、残ってるのね。大学なんかにはね、まぁ、名誉を重んじて、教授になったりしている人もいるかも知れないけど、でも、いずれにしても、普通の人より相当勉強しなきゃできないものだしね、もう、日進月歩の中で。だから、あの、そういうものにね、結局、タイムイズマネーだから、時間がない人にはお金をあげるしかないのよね。そうすると、自分でできない部分を人を雇って。でもね、色々、この、やんなきゃいけないというのあるんですよね。だからそういう点が、ほんとはクリアーにして、医者の行動時間を見てさ、それを割り出していくほうが、すっきりするかもしれないけど、そうなってくればそうなれば遊んでいる先生と遊んでない先生とが分かれてくるけどね。

[  ] まあ、医者なんかでも、そういうのが目立ちますよね。マスコミも拡大して扱いして。

[今井] でも、そこだけ目立つだけで、実際にほんとに真面目にやっている人間たちっていうのは、そんなもんじゃないし。それから、私たちが、例えば、一回学会で、国際学会なんか行くでしょう。そうすると、10万、15万とポンポン飛んで行っちゃうし。でも、それどこからも保証ないんだよ。全部自分たちで自分の勉強のために。だからすごいお金がかかるんです。一生かかっても自分にかかったお金返せないって言うね。

[  ] ほぅ。

[  ] ほぅ、なるほど。

[  ] どのくらい。

[今井] だって本だってそうだもん。みんな1万円以下の本なんてほとんど無いもん。

[  ] ああね、なるほどね、大変ですね。

笑い

[  ] そうだな、今年の夏、エジプトに旅行に行ってきたんですけど、現地の若い人たちと会話をすると、「将来なりたいの」と言うと、必ず「医者」って言うんですよね。男は、何でそんな人気あるのかなと思っているのですけれども、あぁ、そうだ、徳田虎雄さんという人がいるんですけれども。

[今井] えっ、

[  ] 徳洲会の。

[  ] その方は24時間医療体制を訴えつづけて、何か、どうのこうの言っているんですけど、その、今井先生は、山に対する情熱とは別に、医療に対する情熱というのはいかがなものでしょうか。

[今井] いや、持ってますよ。やろうと思ってますよ。

[  ] いや、どう思われますか。

[今井] 欲しい機械があるんだけど、    するから、買えないし、とか、色々あるんですよ。

笑い

[  ] 僕は、あのう、この春徳田さんに会って、えらい魅力を感じたんですけど、ああいう、24時間体制で、何か、患者主体の、みたいのを、打ち出してはるけど、そういうなんどう、

[今井] いや、だから24時間体制で、患者主体は構わないんだけど、医者の体もあるからね。

[  ] いや、まぁ、そらそうです。

[今井] だから、三交替制でやんなきゃなんないでしょう。だから、その辺で、あのう、日本の医療体制っていうのは、医者が割と、元々は、人格者が多かったって言うか、世は尽日なりというのを一般の人たちは思ってるから、医者っていうのは、こけないもんだと思ってるけど、実際には医者の寿命ってのは短いですよ。まず。

[  ] ああそうなんですか。

[今井] で、結局、それだけ、体を酷使してるんだよね。そのところから考えたら、やっぱり、看護婦さんなんか、体制きちんとできてますからね。24時間体制だけれども、三交替制とかね。それでも、人間が足りないぐらいですからね。医者もだんだんそういう風になるでしょうけれどね。だけど、医者自身の勉強したりして充填する部分と、それから休養する部分と、そういうものすべて残してやんないと、医者っていうのは、ほんとにね、手術始まっちゃったら、810時間とかかるような時だってあるわけだし、体力的にも大変ですよ。

[  ] まぁ、確かに社会的に地位は高いし。

[今井] でも社会的地位って日本あんまり高くないもんね。

[  ] えっ、そうでしょうか。

[今井] うん、あんまり。それでプラスになること無いんじゃないんですかね。

[  ] 僕が生まれた田舎の町なんちゅうのは、もう、町でも診療所が二個しかなくて、その一個に行けば、もう、先生、先生と言って、もう、国会議員とか、偉いのは、お医者さんと学校の先生だっちゅうくらいだったんですけれどもね、
まぁ、環境が違いますからね。

笑い

[今井] 医者も、だって、もう最近あふれてきているからとかって言う話もあって、先行きが暗いとか言ってるよ。

[  ] いや、今井さんは、自分の子供は、やっぱり将来医者にした上で、その趣味で生きるような、今、教育をされているわけですか。

[今井] うんうん、子供には子供の人格があるし。で、彼女の能力っていうのもあるから、医者にしようとも、思わないし、何にしようとかまだ決めてないんだけど、ただ一つだけ、今、私が、こう思ってるのは、日本人っていうのは、日本の中ではものすごい役に立つ頭のいい民族なんだけど、こう、世界では全然だめなとこあるわけよ。

[  ] どんなとこですか。

[今井] それは、まず第一に、言語障害でしょ。その次にさぁ、日本語って言うのは非常に便利でね。例えば、言語が無くても話通じるわけですよ。そうすると、論理的な話し方っていうのは、身についてないわけね、日本人。で、人を説得するということができないのね。だから、それとおまけに、シャイでしょ。だから、自分をアピールするっていうの慣れてないわけですよね。日本人同士が、出るくぎは打たれるみたいな生活してるから、自分がこういうものですなんつうて、アピールしたりすると、何だあれはってなっちゃうから。そうすると、押しはきかないでしょ。で、結局、だから、人を説得することもできない、押しもきかない、言葉もわからない、と。だけど、頭はいいと。じゃ、その、頭がいい人間がね、いいこと考えて、それを、どこでもってアピールするかって言うと、大変なことじゃない。だから、外人に言わせるとさぁ、日本人っていうのは、何にも分かんなくても、トヨタの車が造れるのかって、こういう感じになるわけ。そんなことはないんだけど、日本人は全部分かってんだと。やぁ、でも、質問した時には答えられないと。それは違う、言語障害だけなんだから。で、しかも、あんまり言っちゃいけないんじゃないかとかね、相手もよく知ってる人なんじゃないかと思い方するじゃない。で、ヨーロッパ人とかアメリカ人なんか、あんな馬鹿なこと言ってというような、偉そうに話すじゃない。その辺でね、やっぱり、こう、国際性っていうのが無いんですよ。だから、日本人には、国際性だけは、なんとか、身につける子供を、時代は育てないと、日本人は宇宙人みたいな形で、国際社会から浮き上がるな、っていう心配があるよね。

[  ] あぁ、島国根性でね。

笑い

[今井] いや、本人たちは、島国根性をはずしちゃってるから、尚更きついんですよね。

[  ] うん、そうですよね。まぁ、もしですね、えっと、例えば、今井先生にですね、我々二十歳ぐらいなんですけど、突出しいてる人もおられますけども、二十歳ぐらいの、息子、娘さんがいたら、まぁ、どんなこと望まれますかね。もう、

[今井] うんとね、一番最初に何をしなきゃいけないかっつうたらね、私みんなね、どこか、それもさ、今や、どこでもいいんだけど、なるべく、こう、あんまり文明に毒されてないところへ、旅行したらいいと思うよ。

[  ] ははは、なるほど。私も今年、北海道の、

笑い

[  ] 北海道!

[  ] 片田舎で、農家行って、二ヶ月間バイトしてきましたけどね。

[今井] うん、なかなかいいよね。

[  ] いいですよ、はい。

[今井] うちの大学の先生なんかでも、やっぱ、そういう人いますよ。北海道のさ、乳搾りやってたとかね。

[  ] はいはい、私もそれやってました。だから、今、都会のこれ、生活と、全く全然違うでしょ。

[今井] 本人たちにとっては、すごい興味があるという点でいいかもしれないけど、それだけじゃないんです。そこで、身につけるものというのは、本物な、よく本物志向の人って言うんだけど、例えば、テレビなんか見てても、今の人たちっていうのは、牛糞の臭いとかさ、ね、そんなん知らないでしょ。

[  ] ええ、ええ、もう、うんちゃんがここら辺いっぱいかかってね。そんなん知りませんからね。私もそういう経験しましたけどね。

[今井] まぁ、そういうことがまず第一でしょ。で、そんで、何で必要かって言うと、もう、今日本みたいに、清潔で安全で云々という国無いわけさ。すると、もう、外出らんないですよね、もう、温室の中で育っちゃうと。だから、まずその温室から一回出て、自分で、ちょっと病気になっちゃ困んだけど、病気になる寸前までの、こう、何て言うのかな、経験ていうのを、若い時じゃないとできないからね、これは。年取ってからだと、色々病気が出てくると怖いから。

[  ] なんか、そういう、いわゆる、汚い生活みたいなんやるのに、女と男の違いっていうのは、やっぱり無いですか。色々考えちゃいませんか、身の危険とか、そういうの。

[今井] もちろん、女性の場合は、男性に比べたら、ハンディを負ってますよね。身の危険っていうのがまずあるね。これは、人間から受ける身の危険が一番危険ですからね。

笑い

[今井] それは、もう、絶対考えなくちゃいけないんで、だから、一人で行けとは言わないから、何人かで行くとかね、そういうことも必要だし。それから、その国のシステムに従うことね、まず。それは大切ですね。あのう、勝手に、日本なんかだと、どこでも、自由に歩けるし、みたいな。国によっては、ちゃんと、誰か、こう、何て言うのかな、連絡将校みたいなんいるんだけど、まぁ、ネパールで言えば、ネパールではシェルパとかなんかが、山中は入れないとこあるんだけど、そういいうとこ勝手に、一人で日本人で行っちゃう人なんかいるのよね。すると、もう、その人の命の保証無いですね。だから、そういうね、危険に関することだって、例えば、ネパールでディスコ行ってたら、誰か喧嘩したわけ。日本人はどうしたかっつったら、みんな野次馬根性で見に行くわけ。ところが、アメリカに23年留学していた仲間がいるんだけど、その子はいっしょに踊ってたパートナーの女の子を、小脇に抱えて、さっさと逃げましたよ。で、日本だったらそんなとこで逃げると、何だあいつ逃げたっていう話になるんだろうけど、それぐらいね、もし、誰かが発砲したら、流れ弾が当たるかも知れないっていう社会が片やあるわけですからね。そっちの方が正解なんですよ。

[  ] まぁ、そんな、突拍子もないところに行けと言っとるわけじゃ、その身の危険も顧みねえでやるようなことをしようと言ってるわけじゃないですよね。

[今井] じゃない。だから、そういうところへ、要するに、だからさ、何つうたらいいのかな、あんまり初めから、突拍子もない、だから、今、戦場であるようなところへ、すぐ行けという話じゃなくて、むしろ、あのう、

[  ] ネパールの人間てアレですか、どういう民族なんですか、ちゅうかね、きのう、

[今井] ネパールってね、三十何種類の民族がいてね、非常に多民族国家なんですけどね。で、ただ、戦争で敗れたというような経験がない国でね。王国ですからね、王様の統制で、今の日本の歴史から言うと、ようやっと、江戸時代から明治に脱皮したと言うくらいの感じなんだけど、でも、そのころの日本だって、すごい、こう、竹馬気性つうか、自分たち、すくすく伸びてたでしょ。日本史でやったでしょ。すくすく伸びてたんだけどさ、明治維新から先行ってさ、戦争行ってさ、第二次大戦から、すぅっとがっくり落っこってるじゃない。そこのまだ、落っこってないとこにいるんだよね。だから、文化的にもまだ、その、東海道五十三次みたいにして歩いてるから。

[  ] 何かブータンの、      と日本人とそっくりだね。

[今井] だから、そうですよ。人種は割と似てますよ。同じ東洋人だし。もしかして、向こうから、      したんじゃないかなという話、

[  ] そういう説もあるらしいですね。

[今井] ところが、こないだ、ほら、日本原人出てきちゃったから、そうじゃないかも知れないけどね。

[  ] 日本原人?

[  ] うっ、難しい話だな。

笑い

[今井] えっ、新聞に出てたよ。頭骸骨の、

[  ] 新聞読んでないですから。

[今井] 北京原人       と言われてるんだよ。

[  ] 私、日本原人です。なにゆうてんねん。

[  ] ええ、そうですね。

[  ] 今井さんが、お薦めする、じゃ、あんた、ここにいきなさい、というとこありますか。

[今井] いや、別に無いだ、どこでも、割とどこでもいいと思ってんだで。たださ、事例を挙げているとね、結構旅行なんか子もいるの。

[  ] あ、世界各地を周ってるということですか。

[今井] で、一年ぐらいでね、ずっと周ってる子もいるし、それから南米ばっかり行ってる子もいるし、色んな人いますよ。だから、それは、自分の特徴を生かした方がいいですね。私が言えば、山のある国で、というのは、私自身は、山に親しんでいるから、経験もあるし、やりいいじゃない、山の方が。

[  ] ええ。

[今井] だけど、海が好きな子は海の方へ行ったほうがいいかも知んないし。

[  ] 私、下田の生まれですから。

[今井] えっ?映画好きな子は美術的なアレがあるところへ行ったほうがいいし。何かあるじゃない、そういうな人。

[  ] 取っ掛かり易いですか。

[今井] うん。

[  ] 何にも親しんでない都会っ子はどないするんですかね。

[  ] 行けばいいじゃねーか、おまえ。

[  ] まぁ、どこでも行ったらよろしと。

笑い

[  ] そうだな、金が無えからな。

[今井] だからさ、あのう、お金が無きゃいけないような行動とんなきゃいいんでさ、ああいう、ツアーなんか入っていくと、えらい高いでしょ。

[  ] そうですね。

[今井] そういうのやんないで、ちゃんと、初め、例えば、パスポート取るところから、全部自分でやれば、かなり費用はかかりませんよ。

[  ] ええ、そうですね。え、

[今井] 外国行ってもね、いいのよ、だから、外国行かなくても、またどこか、北海道行ってもいいしさ。

[  ] あそこにいらっしゃる先輩さんなんっちゅうのは、本州をずっと端っこから端っこまで歩いた人でね、植村さんを抜いたっちゅうくらいの人なんですよ。

[今井] うん、その、

[  ] 日本縦断、

[今井] だって、日本、こう、ずっと、見ただけでも、随分違うでしょ。

[  ] そら違いますね、もう。

[今井] ほんと面白いのね。

[  ] まぁ、その辺をちょっと。

[  ] まぁ、その辺をちょっと。

[  ] いや、随分華奢な足をしてるんだなって思いますね。

[今井] なんで?

[  ] やっぱ、ぼく、一日60キロぐらい歩いたんですよ。51日で3000キロぐらいですか。で、もう、マメだらけでして。

[今井] それでマメを聞いたわけね。

[  ] そう。

笑い

[  ] 何が苦しいって、マメが苦しいんで、山のときというんは、荷物は何キロぐらいですか。40キロぐらいあるんですか。

[今井] いやいやいや、私たちは大体、今、こういうとこだと、酸素足んないから、体上げるだけで精一杯なんで、荷物はもう10キロぐらいしか。一回でね。

[  ] それで、もう、髪の毛一本でも重いんじゃなんかとか、こう、思いませんでした?

[今井] 髪の毛一本は重くないけど、体に身についてるもんって割と重くないんだけど、背負ったら重いね。だから、例えば、あの、チョコレートなんかでも、外紙はずしちゃうとかね。そこまでやりますよ。

[  ] ハー

[  ] ハー、なるほどなるほど。

笑い

[  ] そうか、そういうこともあったんか。

[今井] マメっていうのもね、靴のせいもあるんだけど、要するに、足裏が、まだ、軟らかいんですよね。我々、で、ネパールなんか行くと裸足で歩いてるでしょ。裸足の人っていうのは、足が硬くなってるの。私は郷に入ったら郷に従えという主義だから、牛糞がいっぱい落っこってて、土が、みんな、どろっと、牛糞が混じってるようなところでも、一応、裸足で歩いてみるわけ。こんな、ぶちょんと出てきて気持ち悪いんだけどね。

笑い

[今井] だけど、あのう、ちょっと歩いていくと、足裏が、こう、すごいやわらかく     で快感なのね。でも23時間続けると、今度は割れちゃうのですよね、日本人の足だと、もたない。マメはできないけど、腫れちゃうのね。で、こりゃもうそのままにしておいたら、炎症起こすからまずいなと思って、やめたんだけど、でもネパールの人は硬くなってるし。で、私たちの場合は、そこまでできないから、逆に今度はそれを、そりゃもう、文明の力使う必要があるから、マメができる前に、できそうに、擦れるところには、バンドエイド貼るとかさ、そういうことをすればいいんですよ。

[  ] なるほどね。

[  ] 僕も剣道してたんですよ。半分足がマメになって歩けなくなったんですよ。われちょうですかね。乾かすとね。

[  ] いいのかな、今度の登山計画なんちゅうのはいかがなものなんでしょうか。

[今井] 今、一応、来年、またチョモランマ行こうと思ってますが、それ以外は、先は、あんまり考えてません。

[  ] では、例えば、やっぱり女性でもあるし、限界というのは感じませんか。

[今井] 女性だからということではなくて、要するに、年齢的な限界というものはありますよ、確かに。

[  ] それはもちろん。

[今井] だからそれについては、さっきの話じゃないんだけど、こう、二十代の前半から三十代の前半っていうのは、もう、ほんとに、自分の力でいける       だけど、三十代を超えたら、ある程度、こう、何かコーディネーターみたいなんでさ、周りの人たち動かすような方向へ、やはり、転換して、         だから、今度だって結局隊長で行って、みんな登れっつうて、自分は下でコントロールしてるとかさ。

[  ] あぁ、そうなんですか。

[今井] ある程度は行くよ、もちろん。だけど、自分が頂上を制して、アタックしようと言うんじゃなくて、やっぱ、若い子にアタックさせて、その人たちを下から見ててあげて、経験と知識が私にはあるけど、体力は彼らにあるんですね。

[  ] はは、まぁやっぱり、山に関わってることには変わりないですよね。我々みたいのをどう思いますか。

[今井] いや、全然分かんないから、まだ何にも言えないんけど。

笑い

[  ] こういうことをしている自体が。

[今井] いや、だからの、さっきの一言よ。百冊本読むよりは、人の話し聞いた方がいいというのは、ほんと、そう思います。私も、小学校のときから、授業を受けてるときに、その場で、先生の言ったことを覚える方が、絶対早いと思うから。家帰ってなんか、絶対、勉強もしなかった。

[  ]           ?

[今井] そうそう。

[  ] まぁ、かなり頭のほうもいいんだということなんでしょうけど。

[今井] そうじゃなくて、結局、そういう風に追い込んじゃうと、人間て集中できるもんですよね。まぁ、人にもよるだろうけど。

[  ] あぁ、もう、土壇場に追い込まれてて。

[今井] うん。

[  ] はいはいはい。

[  ] 危機感はそんなに。

[今井] なんか、ほら、メモとっといたら、あとで見りゃいいと思うじゃない。

[  ] ええ。

[今井] メモ無かったら必死でやるじゃない。

[  ] はぁはぁ。

[  ] それこそ、こういう風に録音しないと思ってると思ってれば、それこそ、

[今井] 一所懸命、

[  ] はいはいはい。

[  ] まぁ、一生懸命聞いてますけど。

笑い

[  ] で、今まで、一番苦しかったのはいつですか。

[今井] 何が?

[  ] いや、そのう、山登りでも、そんでまた、人生においてでも。

[今井] あんまり苦しくないな。

[  ] あぁそうですか。スゥー。でもその山、

[今井] 何かあります?

[  ] えっ?

笑い

[  ] そう改めて言われたら、私も考えますね、やっぱりね。

[今井] そうでしょ。

[  ] はい。でも、山登ってるときなんか、もう、その、もう、山登りやめようとか、そういうこと思いません?もうこんな苦しいことやめやとか。

[今井] それは、      に荷物背負って歩いてね、一瞬、こう、何て言うか、汗だくになって歩いてると、何で来たんだろう、もうやめようと思うでしょ。

[  ] は、思いますね。

[今井] そんなんしょっちゅう思います。

[  ] そんなんしょっちゅうでしょ。

[今井] だけど、スゥー、それもね、その、そうやってのこのこ歩かなきゃならない時間をどういう風に過ごすかというのはもう身に付けたから。他のこと考えてるんです。そうすると、知らないうちにあがってます。

[  ] で、それで、あの、これだけは聞きたいと思って来たんですけど、例えば、山のてっぺんっちゅうのは、どんな気持ちがするんですか。

[今井] 登った時、

[  ] ええ。

[今井] 登った時は、あの、本にも書いてますけど、登った時ってがっかりするんですね。何故か、もう空白って感じですよ。何か、今まで一生懸命やってたことが、これで終わっちまったという感じのほうが先ね。

[  ] スゥー

[  ] ハー

[今井] やったっつう感じじゃないね。

[  ] うん、それー、

[  ] わー、いい景色だなとか、

[今井] いやもちろん、景色がいいとかね、そういうのはあるけどね。

[  ] ああ、それ分かりますね、何か、富士山登った時、そういう、何だという感じがしましたね。登りよるとき、ハー、あの空白、そのそれまでの過程が。

[今井] 楽しいんです。

[  ] あぁ、

[  ] 苦しいながらも楽しいと。

[  ] 苦しいのが楽しいと。

[  ] それはおまえ、

[今井] いや、苦しいのが楽しいじゃなくてさ、マゾヒストみたいじゃない。

笑い

[今井] 苦しくないのよね、結局、見て、

[  ] いや、苦しいという意味じゃなくて、その、

[今井] 呼吸は苦しいかも知れない。

[  ] その、苦労して登っていく過程が楽しいと、あぁ、

笑い

[  ] あのですね、あの、「男は仕事、女は冒険」ですか、書かれてあったんですけど、あのう、主人にですね、浮気をしてもいいと言われたことなんですが、やはり、そういう風にして、やっぱ、男を見放して、見放すというか、一旦見放しておいて、それで、自分はやっぱ医者という職業があるでしょ。それで稼いでるでしょ。で、そういう面、ちょっと、何か、自分でも頭おかしいんで、なに聞きたいのかはっきり分からん。

笑い

[  ] いや、そういうね、そういう風にして、やっと、そういう、趣味と仕事と家庭、そういうなんがうまく築きあげられるものなんでしょうかね、うまく。

[今井] いや夫婦とかさ、そういうのは、千差万別というかさ、一つの家庭には一つの社会があるから、誰が何っていうことは言えないけど、少なくとも、私の場合はって言うだけで、私自身がやっぱり、好きなことやって、あっち行ったりこっち行ったりしていないし、したら、旦那が、もしかしたら、ちょっと浮気しても、それは、私自身がそんなに一緒にいてあげてないので、仕方がないと思うのね。

[  ] だけど、旦那は浮気したらだめだと言ったでしょ。

[今井] そうそう、旦那は浮気したらだめだって言ったけど、浮気などしなくても、他にやることいっぱいあるから、そういうなんする暇無いし。

[  ] だけど、そういう何か、今井さんのやり方というか、生き方見てたら、女の人が見てはったら、羨ましいなと思うとちゃうかなと、僕は男として思うんですが、どうですか。

笑い

[  ] そういう何か、男をもう、ちょっと離れた、段階においといて、自分はやりたいことをやると。それで、夫婦生活は、それは、それなりにうまくいって、山なんかでも一緒に登ったり、その、登られましたね。

[今井] うん。

[  ] そういう感じでやっていけるという、まぁ、俗に言う、何か、現代的と言うのか、まぁ現代的言うたらおかしいんですけど、昔の、その、女の人、家で家事だけやっているとか、そういうなんじゃなくて、割と、最近、女の人の進出が激しいですから、その辺を女の人らどう思う?

[今井] そうだよ、男の人ら負けるよ。

[  ] でしょ。

笑い

[  ] だから、その辺は、何か、

[今井] 基本的に何故負けるか知ってる?女の人はね、ちっちゃい時からさ、ちゃんとご飯作ったりとかさ、編み物したりとかさ、手に手に仕事をちゃんと持っているのよ。だから、男の子も、これから、ちゃんとやっていかないとさ。こりゃ、もう、手というのは、頭に直結してますからね。動きとしてはね、男性が一生懸命、必死になって作った男性社会というのは、一つあるんだけれど、もうすでに男性が、これ切り崩しにかかってるでしょ。もう今色んな、ほら、経済界の人たちとか、      の人たちが言うことを聞いてりゃ分かるじゃない。例えば、年功序列ではない、能力主義にしようとかさ、    システムでさ、      運動でもっていこうとか、ああいうのってさぁ、女性的な発想なんでしょ。逆に言えば、こんな、年功序列という、馬鹿でも何でも、ハイハイと、縦系列でいえるというのは、女の人たちは、初めっから、そう言うのに慣らされてないから。一人が自分で、自分の職をまともに守るというのを、知ってるんだもん。

中断(電話が入る)

[  ] 最後に、時間が無いようですし、サインを一つ、色紙をお願いしたいんですが、どちらがよろしいでしょうか。筆ペンとマジックと。

[今井] どっちでもいいよ。

[  ] あぁまた例のものを。 

[  ] ホホ、例のものを。

[  ] あぁ、今井さん、趣味で山岳やってて、まぁ、マスコミに注目されるというか、     も注目されるようになったわけですよね。そういうんと、昔の時代比べて、何か、一つの登山計画にしても色々変わった面ってあります?

[今井] いや、それは無いですよ。と言うのは、別に、今注目されてというわけじゃなくて、最初に始めた時から、マスコミって言うか、あの、新聞は新聞で、例えば、あ、女性だけで登ったとか、色んなことはゆってたから、それがその人たちが言うのは言うんで構わないけどね。

[  ] いつも山をこういう風に書かれるわけですか。

[今井] うん、字が下手なんですよ。

[  ] とんでもないですよ。

[  ] 今日の日付を書いていただけたりしたら。

[今井] えっと、何日だっけ、12月の。

[  ] 4日ですね。

[今井] 4日。84年。

[  ] あと一枚あるんですけど。

[  ] それ誰の?

[  ] 二枚もらえばいいじゃない。

[  ] あ、そうなの。石坂君へと書いてもらうんかなと思た。

[  ] 嫌だよ。

[  ] 嫌だよって何?

[  ] これはどこの山ですか?

[今井] マッターホルン。

[  ] あー、やはり、その景色が今も目頭、目頭じゃないわ、

[  ] 目頭?

[  ] 残りますか?

[  ] 浮かびますか?

[今井] 常に初心を忘れずなんてね、かっこいいこと言っちゃったりしてね。

[  ] あ、常に初心を忘れず。

[  ] これをですね、この方にお願いしたいんですけど。

[今井] これどなた?

[  ] お願いしたいんですけど。

[  ] それ誰?

[  ] 私なんですけど。

[  ] まさか、サークル費、

[今井] そう言えば、何だっけ、うちのおじに、講演頼まれたって、それは違ったっけ?

[  ] はたして        で。

[全員] アー!!

[  ]イウエオカキクケコ

[今井] それでさ、おじががっかりしてたと言うか、風邪ひいてしまったんですって。

[  ] そう。

[  ] はい、そうですか。

[  ] あぁ、そうだったんですか。

[  ] あのう、資料がね、あそこに置いてましてね。

[  ] あ、どうもありがとうございます。

[  ] あぁ、奇遇ですね。

[  ] 奇遇っていの、

[今井] 気にしておられましたよ。

[  ] あぁ、おじさんなんですか。

[  ] ホー

[  ] 宇都宮さん、

[今井] うん。

[  ] で、あ、

[  ] 宇都宮さんのことどれぐらい知ってんだよ。

[  ] ハハハ。

[  ] 国弘正雄さんに、丁度、ピンチヒッターとしてやってもらったんですよ。

[今井] ね、申し訳無かったですね。

[  ] また今度お願いします。

[今井] ぜひ頼んでやって下さい。

[  ] や、またお願いしますわ。

[今井] 張り切っておったのにね、だめだったんだって。医者に止められて。

[  ] かなりノリ気だったそうで。

[今井] うん。

[  ] 石坂知らんかったん?それ知らんかったんかな?何にも知らんわ。

[今井] その話は難しい。

笑い

[  ] だから、そこに軍縮問題資料が。

[今井] そう、

[  ] あれなんで置いてんのかなと思って。

[今井] あれは、ね、あっ、それ、ちょっと、取ってみて下さる?あの、そこに、私たちが、ネパール側が、エベレストに登った時、山頂にね、世界平和のメッセージというのを埋めたんで。

[  ] ハァー

[今井] それで結局、    とことで。

[  ] ありますね。

[今井] それで書いて、おじに書いてあげたんです。

[  ] なんか、この歩くことなんか、書いてくれますかね。その、なんちゅうですかね、その、足のことちゅうか、

笑い

[今井] うん、字が下手だから円にしたんだよ。

[  ] これにも書いてもらえますか、本なんですけど。増田俊樹君へと書いてください。

笑い

[  ] お講演はされないんですか?

[今井] 講演もしますけどね。あんまり、何て言うのかな、何て言うの、おじやなんかと違って、あぁいう風に偉そうにしゃべるのあんまり好きじゃないんだよね。

[  ] 本あと無かった?

[  ] で、もう、宇都宮先生、健康の方、どうなんでしょう。

[今井] もう、そろそろ大丈夫じゃないかと思うんだけど。会ってないから知らないけど。

[  ] ほな、これ        さんと、

笑い

[  ] 何これ?

[  ] 売ってくれ、分かった、また返す。

笑い

[  ] 東京ってすごいですね。

[  ] 別に東京に限らないじゃない。

[今井] それ、あれ、もしよかったら、一部ずつ持ってってください。

[  ] いただきます。

[今井] おじが講演する日に、チラッと見せて、サイン下さいと言ったら喜んだりして。

[  ] 太郎ちゃんこっち。

[  ] そやそや、

[  ] あぁどうも、ありがとうございました。

[  ]          さん、大阪太郎でも結構です。

[今井] ひたすら、こう、ぼこぼこ登っているときに、頑張るぞ頑張るぞ、だけじゃやりきれないと思うんですけども、何か、そうだな、そういうところからでもいいんですけど、ひたすら登っているとき、頑張るぞあんまり無いんだよね。みんな冗談言いながら登っているから。

[  ] あぁ、どうもありがとうございます。

[  ] ハァー

[  ] スー

[  ] 別に何を考えてるってわけじゃないんですか?

[  ] はい、

[今井] あのー、岩なんか登っているときは、ほんともう、無心ですよ。

[  ] 無心ですか?

[今井] 楽しくてしょうがないって言うか。

[  ] 楽しくてしょうがない、下は絶対見ない?

[今井] 見ない、恐いから。

[  ] やっぱり恐いですか?

[  ] あ、高所恐怖症だそうですね。

[今井] 下見ると、やっぱり恐いですよ。

[  ] そらそうですよ。

[  ] さっき、そこの屋上に、そこに登ってきた時、下見たときでさえ恐かったですからね。

[  ] あの、中途半端とこが、で、

[今井] と、却って恐いですね。

[  ] 恐いですね、やっぱりそうですね。

[  ] いや、今日はほんとお忙しい中、ほんとにありがとうございました。

[全員] どうもありがとうございました。

[  ] お茶菓子までご馳走になりまして。じゃ、最後に記念写真などを。

[今井] あ、はい。

[  ] またお願いします、また何かあれば。

[  ] 太郎ちゃんこっち来て。先生真ん中にして、写真を。

[今井] どっち側から撮るわけ?

[  ] こっちで撮ったらいいんじゃないの。

[今井] そっからこっち撮りますか。

[  ] いや、もっと、ちょっと、ほら、いや、置いて撮りたいんですよね。

[  ] 全員が入るように。

[今井] じゃ、ここに集まって。入んのかな。

[  ] やはり、かわってさ、撮った方がいいんじゃない?

[  ] 増田、もっと入って。

[今井] 何か、紐が真ん中にかかってるよ。

[  ] あぁ、かかってる、紐。かかってるぞ、おまえ。そうそうそう。

[  ]     もうちょっと腰下げる。で、私はどうすればいいんですか?

[  ] だから、

[  ] 撮ってやる。

[  ] また、かわりにやったらええ。

[  ] チーズ。

[  ] ちょっと無理か。

[  ] 置ける置ける。

[  ] それちょっと、下のさぁ、落ちてるのん、拾っておかないと、何か、ずり落ちちゃわない?

[  ] いや、だいじょうぶ、あぁ、

[  ] らつつ

[  ] おおいいぞ。

[  ] 石坂入ってるぞ。

[  ] 入った入った。

[  ] じゃ、臼井そっち、儂こっち。

[  ] 何してんね。

ピーピーピーピーピピピ

[  ] おお、マシンだな。

[  ] あ、目つぶってもた。

[  ] すごいな。

[  ] あぁ、しゃったー。

[  ] じゃ、あのう、いて、ほんとに今日はありがとうございました。

[  ] どうもありがとうございました。

[  ] 最後に握手。

[  ] 僕もお願いします。

[  ] また北海道じゃなくて今度九州ですから、どっか行って下さい。まぁ、どっか行きます。

笑い

[  ] 自分に合ったとこに、能力に合ったとこに。柔らかい手ですね。